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運動学習と運動制御 投稿者:takahashi 投稿日:2007/05/31(Thu) 11:47 No.276  

 

  PNFにも過去ログ(神経生理学的アプローチなど)や理学療法にも書かれている運動学習と運動制御理論を取り入れられていると思いますが、日本PNF学会の初級~上級コースにも詳しい説明などはあるのでしょうか。また、取り入れられているとしたら、どの級でしょうか。

  Re: 運動学習と運動制御 事務局 新井 - 2007/05/31(Thu) 17:32 No.277    

 

    現在のコースでは詳細な説明は盛り込まれていません。理学療法(メディカルプレス)の先月号にPNF関連の運動学習と運動制御理論が記載されています。参照ください。




ご教授下さい 投稿者:RPT 投稿日:2007/05/28(Mon) 09:48 No.270  

 

  PNFマニュアル(第2版)を読んで少し質問があります。
P.7の図1の筋電図、グラフの件ですが、左の筋電図およびグラフが、反応時間、右が膝伸展トルクを表していると考えてよろしいでしょうか?また、RT、FTは何の単位の略なのでしょうか?
どなたかご教授頂ければ幸いです。

  Re: ご教授下さい 事務局 新井 - 2007/05/30(Wed) 16:05 No.271    

 

    左の筋電図およびグラフが、反応時間、右が膝伸展トルクを表しています。
RはREACTION、TはTIME,FはFORCEの略です。

  Re: ご教授下さい RPT - 2007/05/30(Wed) 18:40 No.273    

 

    新井先生、ありがとうございます。
疑問が解消され、すっきりしました。
これからも、理論的背景の勉強を進めていきたいと思います。

  Re: ご教授下さい 事務局 新井 - 2007/05/30(Wed) 20:05 No.274    

 

    がんばってください。




言葉について 投稿者:takahashi 投稿日:2007/05/15(Tue) 20:07 No.257  

 

  PNFハンドブック 第2版を読んでいての質問です。
抵抗 定義:筋収縮タイプを決めている
安定した等張性(stabilizing isotonic)と等尺性(isometric)(静的)収縮の違いがよくわかりません。
どちらも関節の運動は行われていない収縮ではないのでしょうか。教えてください。よろしくお願いします。

  Re: 言葉について 事務局 新井 - 2007/05/17(Thu) 18:52 No.258    

 

    安定した等張性(stabilizing isotonic)は等張性とあるように動きがあります。英語を直訳すると患者は動こうとする意志があり、外力(通常抵抗)により動きが妨げられている(邪魔されている)時の収縮です。関節の動きはあります。
例えば、安定した等張性では、
1)患者は股関節を屈曲しようと意図しています。
2)しかし、セラピストは伸展方向に動かします。

したがって、屈筋群の収縮はセラピストと患者の力関係で患者の股関節が屈曲したり(患者の力が強い;屈筋群の求心性収縮)伸展したり(セラピストの力が強い;屈筋群の遠心性収縮)します。

等尺性(isometric)(静的)収縮は患者もセラピストも動かないように努力するので、静止性収縮を促通しやすくなります。

上記の表現は著者の操作定義であり、一般的な論文等に用いるときには注意が必要です。上記のことを説明してから用いてください。

実際の生体では、数秒間等尺性(isometric)(静的)収縮を試みますが、等尺性収縮を保持できません(生理的振戦や収縮時の動揺等)。静止性収縮と表現したほうが適切であり、求心性収縮や遠心性収縮が伴います。安定した等張性(stabilizing isotonic)よりも等尺性(isometric)(静的)収縮がより等尺性収縮に近く、それを目的としていると解釈してください。

  Re: 言葉について takahashi - 2007/05/21(Mon) 21:21 No.260    

 

    ご指導のほど、ありがとうございます。
臨床上では、遠心性収縮や求心性収縮、等尺性(isometric)収縮(静的)収縮を目的に収縮を試みることはあるのですが、安定した等張性(stabilizing isotonic)を試みる事がないのです。ホールド&リラックスを試みるときには、安定した等張性(stabilizing isotonic)を利用していると言えるのでしょうか?

  Re: 言葉について 事務局 新井 - 2007/05/22(Tue) 00:22 No.261    

 

    ホールド&リラックスを試みるときには、安定した等張性(stabilizing isotonic)を利用していません.静止性収縮(等尺性(isometric)収縮)です.
上記に述べたことが混乱を招いていると思いますので下記に整理します.

A)安定した等張性では、
1)患者は股関節を屈曲しようと意図しています。
2)セラピストは伸展方向に動かし遠心性収縮を促通したりします.

B)等尺性(isometric)(静的)収縮では,

1)患者は股関節を一定の位置で止めようと努力しています.
2)セラピストも股関節を一定の角度に保持させるように努力させます

A)ではセラピストが患者の動こうとする意志に抗して患者の収縮様態をコントロールしています(セラピストから患者への指示は動くこと).
B)ではセラピストも患者も同じ力で拮抗して静止性収縮が生じるように努力しています(セラピストから患者への指示は止めること),

  Re: 言葉について takahashi - 2007/05/22(Tue) 18:43 No.263    

 

    新井先生ありがとうございました。
臨床上、自分で意識していない過程で、安定した等張性を促している場面があることがわかりました。
より効果的な筋収縮を考え、患者様に合った方法を試行錯誤していきたいと思います。

  Re: 言葉について 事務局 新井 - 2007/05/30(Wed) 16:11 No.272    

 

    日本PNF学会では安定した等張性(stabilizing isotonic)という用語は用いません。前述しましたように、上記の表現は著者の操作定義であり、一般的な論文等に用いるときには注意が必要です。PNFを行う特定の集団にしか通じない言葉(JARGON)は極力さけています。
等張性(isotonic)収縮は生体では起こりません。求心性収縮または遠心性収縮の用語を用います。
前述しましたように、実際の生体では、数秒間等尺性(isometric)(静的)収縮を試みますが、等尺性収縮を保持できません(生理的振戦や収縮時の動揺等)。静止性収縮と表現したほうが適切であり、求心性収縮や遠心性収縮が伴います。
中村隆一の基礎運動学を参照ください。




PNFの継続性について 投稿者:おざぼん 投稿日:2007/05/23(Wed) 17:19 No.266  

 

  新井先生、ありがとうございます。
参考にさせていただきます。
PNFについてなんですが、施設で働いていると週1回~2回のペースになってしまいます。その中で、同じようなプログラムを何ヶ月か続けるということも出てくるのですが、多少の改善がみられたこともあったので、粘り強く続けることはやはり必要なのか、それとも同じことを続けることにあまり意味はないのか、どの程度で効果判定を下せばよいのかを、教えて頂けますでしょうか?

  Re: PNFの継続性について 事務局 新井 - 2007/05/23(Wed) 19:27 No.267    

 

    私見ですが即時効果のない手技は無効です。問題点を明確にして解決できる手技を選択できる能力を身につけてください。
多発性脳梗塞の患者には疲労に気をつけてください。

  Re: PNFの継続性について カトウ - 2007/05/23(Wed) 20:59 No.268    

 

    「多発性脳梗塞の患者には疲労に気をつけてください。」という返信に大変考えさせられます。脳血管障害の患者様の「疲労」にいつも頭を悩まさせられます。何か良い参考文献などあれば、ご教授いただきたく思います。宜しくお願いします。

  Re: PNFの継続性について 事務局 新井 - 2007/05/24(Thu) 18:36 No.269    

 

    刺激に対して効果の高い効率の良いアプローチが必要です。
PNFリサーチや拙著を参考にしてください。




歩行について 投稿者:おざぼん 投稿日:2007/05/22(Tue) 21:58 No.264  

 

  こんばんは。老人保健施設で働いているPTです。
質問なのですが、シルバーカー歩行をされている方で、可動域は特に問題ないのですが、歩行の際に回旋の動き、体幹と骨盤の分離した動きが出ない方がいます。
臥位や座位での運動では回旋や分離運動は比較的良好です。
しかし、歩行は小刻みになる傾向です。疾患としては10年前に多発性脳梗塞という診断があるのみで、他にも疑ってはいるのですが、何しろ施設ということもあり情報が不十分です。
何か良いアプローチ方法があれば教えていただけますでしょうか??

  Re: 歩行について 事務局 新井 - 2007/05/23(Wed) 16:47 No.265    

 

    多発性脳梗塞の結果、四肢麻痺になっている可能性があります。現在も病状は進行中の可能性があります。パーキンソン症状が出てくる場合が多いのですが、上記の記載でもその可能性が示唆されています。PNFマニュアルのパーキンソンの項を参考にしてください。




Ⅲstep(2005) 投稿者:事務局 新井 投稿日:2007/02/11(Sun) 14:22 No.225    

 

  Ⅲstep(2005)が分かりにくいとのことなので、掲示版にまた書きます。

まず、以下のHPをごらんください。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html
http://www.iiistep.org/IIISTEP/



NUSTEP,Ⅱstep会議とⅢstep(2005)とICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)は関連しています。



ICFのHPを以下に引用します。
ICFは、人間の生活機能と障害の分類法として、2001年5月、世界保健機関(WHO)総会において採択された。この特徴は、これまでのWHO国際障害分類(ICIDH)がマイナス面を分類するという考え方が中心であったのに対し、ICFは、生活機能というプラス面からみるように視点を転換し、さらに環境因子等の観点を加えたことである。


PNFの原理はマイナス志向でなく、患者の潜在能力を最大限に引き出すというプラス思考です。また、ADL訓練も当初より取り入れ、連合反応というマイナス症状に拘泥せず、積極的な生活指導を当初より取り入れていました。したがって、多くのファシリテーションテクニックが理論を変更せざるを得ませんでしたが、PNFは原理原則を堅持してきました。また、連合反応と過緊張、連合反応とROM制限の相関がないという検証結果や筋萎縮や痙縮筋が運動単位の動員がすくなく促通する必要があるという生理学的背景が明らかになり、そのマイナス面を改善できる手技を具備していることがPNFの追い風になっています。
しかし、PNFと他の手技との融和として、連合反応を抑制する傾向の考え方を支持する団体も出現してきていますが、その手技は、今後、検証していく必要があります。

生理学的な仮説はSherringtonの学説から、中枢の覚醒効果という仮説に日本ではシフトしてきました。この仮説のモデルは中村先生が提唱され促通肢位と名づけていますが、動きに対する仮説がありません。私は、CPGsの仮説モデルの方がPTとして治療手技につながると考えていますが、このモデルは今後の臨床的検証とモデルの構築が必要です。




神経生理学的アプローチ 投稿者:PT 投稿日:2007/02/07(Wed) 12:18 No.216  

 

  続けてご質問させていただきます。
以前、養成学校の授業でNUSTEP,Ⅱstep会議の話を聞いたことがありました。NUSTEP(1964年)ではさまざまないわゆるファシリテーションテクニックが紹介され、Ⅱstep(1990年)ではこれらの手技が色々批判されたと聞きました。また、Ⅲstep(2005)ではファシリテーションテクニックに関する話がまったく議題にあがらなかったらしいというような話も聞きました。

PNFに関してはⅡstepではどのような批判がされたのでしょうか?また、これらの会議を経て、中枢神経系の運動療法の概念が反射階層性理論からシステム理論にパラダイムシフトしたとの事ですが、それにあたってPNFも何か治療に対する考え方等が変化してきているのでしょうか?
ご教授の程よろしくお願いします。

  Re: 神経生理学的アプロー... 事務局 新井 - 2007/02/07(Wed) 19:42 No.218    

 

    Ⅱstep(1990年)はSherringtonの仮説からBernsteinの理論の仮説への転換を志向したのです.従来の反射理論を否定し、行為からPTを模索することを決定しました。よって、PNF、BOBATHの治療効果の否定ではなく、反射から行為への学問的な仮説の転換です。

Bernsteinの紹介を下記に記します。

Bernsteinは動物は環境とともに連続的な非平衡状態(dis-equilibrium)であることを示唆し,刺激に反応することが求められているのではなく,いつでも「行動」することで(act all the time),絶えず変化する(ever-changing)現在の状況に関してその行動を常に「評価する(evaluate)」ことが要求されているのである.

Ⅲstep(2005)では保健業務、神経科学、神経学、神経生物学、心理学、リハビリテーション薬学、モーター行動等の分野から討議されています。
一つの手技を討議するのではなく、グローバルな観点に立って論議されています。Ⅲstep(2005)ではPNFという一つの手技に拘泥することは会の性格上ないでしょう。Ⅱstep(1990年)からの歴史的なこの会議の流れでしょう。だからといって,PNFが学問的に否定されたというのではないのです.practiceに基づいたエビダンスの構築の必要性も論議されています.

私個人としては、PTとして、PNFの効果、新しい手技等の開発を行い,そのエビダンスの構築を目指しています。
生理学も、私個人は、Sherringtonの動物実験からヒトの行為に関与した歩行反射 (CPGs)を理論的根拠に転換しています。
ただ、学問はゆり戻しがあります。歩行反射の原点はSherringtonの交叉性反射であり、行為は反射活動を複合的に具現化した自動運動の集積に依存している。------等の議論は当然あります。

マイナーかメジャーか?

  Re: 神経生理学的アプロー... 事務局 新井 - 2007/02/10(Sat) 13:16 No.221    

 

    中枢神経系の運動療法の概念が反射階層性理論からシステム理論にパラダイムシフトの答えがないのではないかという質問を会員から個人的にされたので、下記のサイトを参照して読み直してください。上記の答えが理解しやすくなると思います。
下記の内容も、下記のURLから引用したものです。
他にもgoogleで検索したら色々ヒットしますので勉強してください。

Bernsteinは動物は環境とともに連続的な非平衡状態(dis-equilibrium)であることを示唆し,刺激に反応することが求められているのではなく,いつでも「行動」することで(act all the time),絶えず変化する(ever-changing)現在の状況に関してその行動を常に「評価する(evaluate)」ことが要求されているのである.


http://www.htc.nagoya-u.ac.jp/~yamamoto/cssp/data/mcl/reed82.html

  Re: 神経生理学的アプロー... 事務局 新井 - 2007/02/10(Sat) 13:38 No.222    

 

    老婆心ながら反射階層性理論からシステム理論の関連性の考察のために下記のURLを参照ください。
http://www.fuji.ne.jp/~kimura/holon/soho.html

Sherringtonの動物実験の結果はヒトと異なるから再考を唱えだしたのも1980年代ですが、だからといってSherringtonが学問的に完全に否定されたのではないことを明記しておきます。表面的な結果だけを覚えるのではなく、科学し哲学する行為が重要と思います。

  Re: 神経生理学的アプロー... 事務局 新井 - 2007/02/10(Sat) 14:14 No.223    

 

    パラダイムシフトの説明が欲しいという声があったので下記のURLを紹介します。
パラダイムシフトには落とし穴が多く、シフトしたと信じる人が多くなればなるほどリスクが増す。とりあえず、現在の状況はリスクは少ないと思っています。個人的見解としては。

http://www.jagat.or.jp/story_memo_view.asp?StoryID=2856